カナリアるーむ こころの相談室

神戸 岡本 摂津本山 おもちゃひろば~Toys' Campus内併設 カウンセリングをもっと身近に

普段着のやさしさ

f:id:kanariaroom:20230103153713j:image

新年おめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

12月〜春先に向かうこの季節は、集い、挨拶、食事、プレゼントなど準備の段階から含めて気持ちが運ばれ配られ合い、「行き来」が増えます。年一度の御祝い、気を張って少々お疲れが出やすくなることもあります。またこの時期、学業やお仕事柄ご多忙を極めていた方、あるいはご家族の事情などでご自分のことは後回しであったという方も少なくないと思います。お休みが取れそうなときには無理をなさらず、一息ついて体と心を調えていただきたいと思います。

 ❇   ❇   ❇

さて比較的外出も多くなりました。行く先毎にネット検索、問い合わせ、決済、配達、卓上で注文など電子化、セミセルフサービス、ある程度は自分で責任を持って遂行する…という時代になりました。便利は便利になったのですが、まごつき焦りはどなたも経験があるでしょうし、逆に慣れれば、もはやスムーズな手続きがないとかえって不快や苛立ちもさしこむ時代になったようです。

そのせいなのか余計に、人と人の間のふとした思いやりが印象に残るようになったと思います。よく耳を澄ますと、街にはそんなささやかなやりとりの瞬間があることに気づきます。

 

ある日のコンビニ店員さん。手袋を外しながら後列を気にするも寒くてかじかんだ手がうまく鞄のポケットを探れずもたついていると、「いやー今日ほんとに寒いですねえ」と緊張をほどくようにご自分も両の手をこすりあわせて声をかけてくれる方。

 

寒い夕暮れ、待つのは当たり前のバス停留所、ちゃんと遅れなく時間通りに到着したはずのバスの中で聞く、運転士さんのゆったりとしたアナウンス。「皆様、大変お寒い中を長らくお待たせいたしました、発車いたします。」

 

「これとこれはどこが違うの?」と100円均一でスリッパを選ぶ初老の女性。片方は200円の識別札。種類の多さから咄嗟に見分けかねるスタッフさんが連打で鳴るベルに呼ばれて申し訳なさそうにそそくさと去り、かわりにその場にいた見知らぬ3人が寄ってスリッパをしげしげ観察。……「あっ、わかった!かかとにほんのすこしだけ縫い縁がある、だから200円なのね。」「こっちのが脱げにくいわね」たかが100円されど100円。女性はほっとしたように、「ありがとう、正月に息子が来るの…うちの床、冷たいから一つ買いたくて、助かりました。」

 

こんな時間、思いがけない一言に、人は温まり少し元気を回復する。

 

コロナ会話混雑御免、すみやかに急ぎ通過せよ、そんな自動改札みたいな世の中ではあるけれど、人の心のスピードは依然変わらず、やっぱり時に立ち止まり、時に確かめ、チューニングが必要です。ご自分の心の音をよく聞いて、それがどう伝わってくるか、どう相手に伝わるか、どうすればよく響き合うか。あるいは「自分」と「自分の本音」が調和するか。ほんの少し緩やかな気持ちで耳をかたむけられたらよいですね。その一言に、普段遣いのやさしさが宿っているのかもしれません。

そんなことを思う年の始まりです。

 ❇   ❇   ❇

2023年が皆様にとって佳き年になりますように。

カナリアるーむは年始4日より開始します。ご自分の心身へのねぎらい、新しい年への思いなど、お気持ちに少し丁寧に向き合いたいとき、お気軽にご利用下さい。